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子どもの歯ならびって?
「子どもの歯並びが気になるけど、自分のせい?」そんな不安を抱える親御さんへ。歯並びは基本的に遺伝ではありません。
え?と思われた方も多いとは思いますが、事実です。歯並びに遺伝が影響する確率は概ね5%程度(一般的には20~30%と)といわれ、日常の習慣や食生活も大きく影響します。
本記事では、子どもの歯並びが悪くなる原因と、親ができる対応策について、歯科医の視点から解説します。
歯並びが悪くなる主な原因
子どもの歯並びは、見た目だけでなく、噛む力や発音、全身のバランスにも影響を与える大切な要素です。実は、歯並びが乱れる原因はひとつではなく、日常の習慣、食生活など、さまざまな要因が関係しています。
例えば、 アレルギー、舌小帯などの小帯異常、生活環境、遺伝などです。
ここでは、特に注意しておきたい代表的な根本の原因についてご紹介します。
歯並びが悪いとどうなる?
歯並びが悪いと、歯と歯のすき間や重なりができやすくなり、歯ブラシが届きにくくなるため、磨き残しが多くなりがちです。これにより、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
また、見た目に対するコンプレックスを抱きやすく、口元を気にして笑顔が少なくなったり、正しい発音がしづらくなることもあります。そうなれば心の発育に影響を及ぼします。
さらに、噛み合わせが悪いと、食べ物をしっかり噛めず消化に負担がかかったり、特定の歯に過剰な力が加わって、歯が早く傷む原因にもなります。こうした問題は、子どもの成長や日常生活にも影響を与えるため、早めの対策が大切です。
親ができること
子どもの歯並びは、成長とともに変化していきます。その中で、日々の生活習慣や環境が大きく影響することも少なくありません。
とはいえ、すべてを完璧に管理する必要はありません。親としてできることを少しずつ意識することで、歯や顎の健やかな成長をサポートすることができます。
生活環境を見直す
毎日の食事や生活習慣は、歯並びや顎の発達に大きな影響を与えます。
柔らかい食べ物ばかりに偏った食生活や、悪い姿勢・口呼吸などのクセが続くと、歯並びの乱れにつながることも。
まずは日々の生活を見直すことから始めてみましょう。
食感のあるものをしっかり噛む習慣をつける
噛みごたえのある食材をよく噛むことは、顎の筋肉や骨の発達にとても効果的です。
食感のあるものを「しっかり噛む」ことが必要な食べ物を取り入れることで、顎の成長をサポートすることができます。
とは言え、硬すぎるものを食べさせていると頸椎の問題を起こす場合があるので、注意が必要です。
口呼吸や悪い姿勢に気をつける
ぽかんと口が開いていたり、猫背になっていたりしませんか?
口呼吸や姿勢の悪さは、歯並びや噛み合わせに悪影響を与えることがあります。
お子さんには早い段階から、正しい姿勢と鼻呼吸を意識づけてあげることが大切です。
小さい頃から歯科検診を受ける
虫歯の予防だけでなく、歯並びや顎の状態を定期的にチェックしてもらうことで、トラブルの早期発見が可能になります。
「今のところ問題なさそう」と思っていても、定期的なチェックを続けることで、見逃しを防ぐことができます。
必要に応じて矯正治療を検討する
もし歯並びの乱れが見られる場合は、早めの矯正治療を検討するのもひとつの手段です。子どものうちは顎の成長を利用した治療ができるため、大人になってからよりも負担が少なく、治療期間も短く済むケースがあります。
「親の責任」といわれる理由
子どもの矯正治療は、本人が自ら希望するケースは少なく、多くの場合は親の判断によって始まります。そのため、治療を受けるかどうかの決定には、親の意志が大きく関わっています。
さらに、矯正治療の多くは保険が適用されない自由診療となるため、費用面でも家庭の負担は小さくありません。
こうした点からも、子どもの矯正は「親の責任」とされることが多いのです。
とはいえ、「責任」と聞くと少し重たく感じてしまうかもしれませんが、大切なのは必要なタイミングで気づいてあげること。
親だからこそ気づける小さなサインに目を向け、早めに相談することで、将来的な負担を減らせることもあります。「できることから、少しずつ」で大丈夫です。
家庭でできる!子どもの歯並びを守るサポート方法
矯正治療は歯科医院だけでなく、家庭での協力が成功のカギになります。次のような工夫で、子どもをしっかりサポートできます。
正しい食習慣を意識する
子どもの歯並びを整えるためには、日々の食生活も大切です。特に「よく噛む食材」を意識的に取り入れることで、あごの発達を促し、歯並びの改善に役立ちます。
たとえば、にんじんやごぼうといった根菜類、また適度な硬さのあるせんべいなどは、自然と咀嚼の回数が増えるためおすすめです。
また、食事中の姿勢にも注意が必要です。猫背や頬杖をついた状態での食事は、あごの正しい成長を妨げる可能性があります。
背筋を伸ばして座り、両足が床につくような姿勢を保つことが、健やかな歯並びづくりに繋がります。
習慣の見直し
歯並びに影響を与える日常習慣にも注意が必要です。特に「口呼吸」は、あごや歯列の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、普段から「鼻呼吸」を意識づけることが大切です。
お子さまが無意識に口呼吸をしている場合は、こまめに声をかけてあげましょう。
また、「頬杖をつく」「うつ伏せで寝る」といった癖も、顔の骨格やあごの成長に偏りを生じさせる原因になります。
こうした習慣はできるだけ控えるよう促し、正しい姿勢や寝方を身につけることが、歯並びを守るためには欠かせません。
治療の継続を応援する
お子さまが矯正装置を使用している場合、継続して正しく使うことが治療効果を高める鍵となります。
装置の装着を忘れがちになることもあるため、保護者がやさしく声をかけて、きちんと使うようサポートしてあげましょう。
また、矯正中は痛みや違和感を感じることもあります。そうした不安や不快感に寄り添い、しっかりと理解を示すことで、お子さまのストレスを軽減し、前向きに治療へ取り組めるよう支えることが大切です。
※親御さんが一生懸命になりすぎて子供の負担になってしまうことも…
親子ともに楽しみながら治療を継続することが成功の秘訣です🙂
肩の力を抜いて一緒に継続していきましょう!
ポジティブな声かけを忘れずに
「頑張ってるね」「きれいな歯になるの楽しみだね」など、励ましの言葉は子どもにとって大きな力になります。
できないことではなく、できるようになったことに目を向けることが大切です。
子どもの矯正がおすすめな理由
歯並びを整えることには、見た目以上にさまざまな意味があります。まず、虫歯や歯周病を予防するためには、毎日の歯磨きや食生活の見直しに加えて、歯並びの管理も大切なポイントです。歯がきれいに並んでいることで、磨き残しが減り、健康的な口腔環境を保ちやすくなります。
また、成長段階で歯並びに問題が見つかった場合は、早めに対応することで治療もスムーズに進み、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
さらに、整った歯並びは見た目の印象を良くするだけでなく、子どもの笑顔への自信や、友だちとの関わりといった社会性にも良い影響を与えます。
自己肯定感を育てるうえでも、大きな意味を持っています。
噛み合わせは、実は全身の健康とも関係しています。かみ合わせが悪いままだと、顎関節の負担が増えたり、食べものをしっかり噛めずに消化に負担がかかったり、姿勢のバランスが崩れるといった影響も出てくることがあります。
矯正治療はいつ始めるべき?
矯正は「大人の歯が生えてから」と思われがちですが、6歳〜10歳ごろから始める早期治療も効果的です。
まとめ
子どもの歯並びの乱れは、遺伝だけでなく生活習慣や環境の影響もあります。
親ができる予防・ケアによって、将来のトラブルやコンプレックスを避けることも可能です。
お子様の歯並びに不安がある場合は、専門の歯科医に相談することをおすすめします。早めの行動が、お子様の健やかな成長につながります。